お母さんが北条家で働いていたことがわかってから、北条家へ行くことが増えた。
おばさんも北条さんも本当の家族のように接してくれるし、可愛がってくれる。
特におばさんは女の子が欲しいとずっと思っていたから、話をし出すと止まらない。
時折、北条さんがうまく外へ連れ出してくれた。
おばさんの勢いに押されて、疲れたところへ救いの手を差しのべてくれるから助かる。
ホッと小さくため息を吐く。
「疲れたろ?」
優しく気遣ってくれる北条さんに、エヘヘと笑った。
「あの人はね…」
「はい?」
「人と接するのが好きで、まだ俺が小さい頃、近所の人たちとお茶会をよくやってたんだ。
でも子どもが小学校へ上がると働く人が増えて、段々できなくなってね。