「悪いな、俺のために遠回りさせちゃって。」
「ううん、折角応援に来てくれたんだもん。このぐらいさせてよ。」
駅から歩いて15分の閑静な住宅街。その中に一際大きな家があった。
この辺りは来たことがない。
「へえ、すっごい大きなお家。車が3台もある。
凄いねー。あれ外車?」
「ああ、ベンツ2台とキャデラック。」
「ほええ。一体どんな人が住んでるんだろう。」
足を止めて庭を覗く。
「会ったことあるじゃん。」
「はい?」
「タカさん。」
えええー!
「タ…タ…タカさんって。北条さん…。」
「そ。ここタカさんち。小さい頃よく遊ばせてもらったんだ。」
「へえ。」
「あ、俺んちはこっち。」
北条さんちの大きな門から二軒向こうを指差した。
「こんな大きなお家だと、生活レベルが違い過ぎて会話も身構えちゃいそうなんて思ってたけど、案外そうでもないんだね。」
「タカさんちのおばさんすごい気さくで、どっちかって言うと田舎のおばちゃん的な感じだよ。」
「ふうん。」