福田くんが入院している間、夕方顔を出すと時々北条さんと会った。
ポツポツと会話を交わす程度だったのが、会う回数が増えていくにつれ段々気持ちもほぐれていき、今では冗談が言える程になった。
年上の男の人が苦手だった筈なのに冗談まで言えるなんて不思議。
尊や福田くんとはまた違う。
大人を感じる。
比べちゃいけないとは思うものの、いつの間にか比較をしている咲がいた。
そのうち福田くんは退院し、松葉杖をつきながら学校生活を送れるようになった。
でもすぐに夏休みに入ってしまい、顔を合わすことはなくなり、それと同時に北条さんとも会えなくなった。
福田くんは水泳大会に杖をつきながら応援に駆けつけてくれて、一際大きな声援でみんなを元気づけた。
その帰り、降車駅が同じだったので家まで送ることにしたのだけど、送る送らないで一悶着する羽目になる。