「母さん!!余計なこと言わなくていいからちょっと出てってくれよ。」
「怒られちゃった。」
ペロッと舌を出して、「ごゆっくり。」と病室を出て行った。
「余計なことをぺらぺらと…。」
ふてくされながらそっぽを向いてブツブツ言ってる。
羨ましい。本当のお母さんを『お母さん』と呼べたら、どんなにいいだろう。
おばちゃんに不満がある訳じゃない。寧ろ本当の親よりよくしてもらってるかもしれない。
だけど…。
「一文字?どうかした?」
「あ…ううん。何でもない。優しそうなお母さんだね。…妹がいるんだ。何年生?」
「今小6。これがまた生意気でさ。こましゃくれた妹だよ。」
「そう。妹…か。生意気とか言いながら可愛いんでしょ?」
「ふ…まあな。ムカつくこともあるけど可愛いよ。一文字は兄弟いるの?」
「…ううん。一人っ子。兄弟のいる人が羨ましいこともあるけど、幼なじみと兄妹みたいに育ったから…。小さい頃は喧嘩もよくしたよ。」
「ふうん。」