俯いたままチラリと北条さんに視線をやる。

だって年上の人って苦手なんだもん。

すると様子を見ていた北条さんが口を挟んだ。

「こいつの話し相手でもしてやってよ、学校の話とか…。退屈だから来いって、朝っぱらから呼び出すんだから。
俺、そろそろバイト行くし。じゃな真聖(マサキヨ)。」

北条さんはあっさり部屋を出て行った。

「悪いことしたかな…。」

「ああ、気にしなくていいって。バイトだって言ってたろ?
それより、昨日傘忘れたの一文字?」

「あ、そうなの。あの後すぐに取りに来たんだけど、誰か来てたみたいだったからそのまま帰ったの。」

「何だ。入って来ればよかったのに。
一文字は知らない人って苦手だよな。」

「え…何で知ってんの?」