福田くんは思っていたより元気で明るかったから安心した。
反対に見舞いに行った咲たちの方が元気をもらったみたい。
病室を出て下に降りると、家を出た時に降っていた雨は上がっていて、ロビーで傘を手にした人を見て思い出した。
「あ、傘忘れちゃった。先行っててください。すぐ追いつきますから。」
エレベーターの前まで来ると、ちょうど最上階へ向かって上がって行くところだった。
時間がかかりそうだな。階段で行こ。
彼の病室は三階で、部屋の前まで行くと話し声が聞こえた。
私たちと入れ違いに誰か来たみたい。入りづらいな…。
仕方なく一つ階を下りて、自販機のある談話室で待つことにした。
30分ぐらい待ったところでもう一度部屋まで行くと、今度は静かで話し声は聞こえない。
ノックをしようとして突然聞こえた声にビクッとした。