「先輩、何だって?」

「んー、よくわかんないけど…嬉しい。」

「は?」

「うふ。何でもない。行こう。」

気持ちは晴れやかだった。
嫌なことが全部吹き飛んだ瞬間だった。
自然に笑みが零れる。

友美に報告しなきゃ。

正門のところで友美に会った。

「あ、友美。今ね…。」

「あー、いたいた。佐古田先輩が探してたよ。どこ行ってたの?早く、こっち。天宮くん、咲借りるねー。」

余韻に浸る間もなく、引っ張られて体育館の前へ連れて行かれる。

「聖司くん、連れて来たよ。」

「おう、悪いな。」

は?聖司くん?友美ったら随分親しげ…。

「あの…友美?」

「何?」

「聖司くんて…先輩のこと、何で名前…。」