〈先輩side〉
やっと卒業式も終わったか…。色々あったな。特にあの一文字咲という子。
友美の友だちらしいけど、変わった子だわ。
あれだけ嫌がらせをしたり、嫌味を言ったりしたのに全然めげない。
めげるどころか、反対に近寄って来るし。
鈍感なのかしら。ふふ…。
天宮くんがテニス部に入ってすぐ、彼の格好良さに惹かれ始めた。
一つ年下なのにそれを感じさせない程素敵で、女の子が騒いでた。
気がつくといつも一文字さんが傍にいて…。
一度彼らが正門で話してるところに出くわした。
天宮くんはあの子のプールで濡れた髪を優しく手櫛で直してた。
とっても愛おしそうな目をして…、彼女は照れ臭そうに俯き加減で…。
無性に腹が立った。
天宮くんを好きな気持ちは誰にも負けない。なのに何であの子だけ…。
学校でも家でも愛して欲しい人に振り向いてもらえず、自分でもどうしていいのかわからなかった。