それならなぜ噂もたってないのに、わざわざ悪口を私たちに吹き込んだのだろう。

「ここだけの話にしてくれる?」

咲と尊は顔を見合せ、こっくり頷いた。

「親戚と言っても血が繋がってる訳じゃないの。
私の父方の叔父が再婚して、その奥さんの連れ子。
私が小学校3年生の時に親戚になった。

回りの大人たちは歳も近いから仲良くしなさいとよく言ったけど、そんなのできる相手じゃなかった。
初めから意地悪だった。

叔父は死別した前の奥さんが好きだったチューリップをとても大切に育てていたの。
色とりどりの綺麗なチューリップを見ていたら、彼女は『花なんて大っ嫌い!』と言ってパキパキと茎を折っていく。
『だめだよ!おじちゃんが大切にしてるんだよ。やめて!!』
必死になって止めようとしたけど、全部折ってしまった。