「おばちゃんがね、優勝しないとご飯抜きだって。」

「えー!そりゃねえよ。…どんなプレッシャーだよ。」

クスクスクス…

「試合…すごかった。ずっとラリーが続いて。」

「あれ、去年の試合でも当たった相手でさ。負けたんだ。で、今年はそのリベンジ。惚れただろ?」

「あー、はいはい。」

「何だよ、それ。」

「尊ってさ、自覚してるの、してないのどっち?」

「何の自覚?」

「……。」

「ん?」

「もう!わかってて言ってんでしょ!?」

「ぐえ!首絞めんな。落とすぞ。」

「……。」

落とされちゃかなわない。首に回した腕を緩めた。

「いくら女の子が騒いだって、今は興味ない。テニスの方が楽しいし。それに手のかかる奴がここにいるしな。」

「知らない!」

尊の背中でブスッと膨れて、尊は楽しそうに、はははっと笑った。