「じゃあ、今日の練習はここまで。」
「「ありがとうございました!」」
「あー、疲れたあ。」
「ねえ、なーんかヤバそうじゃない?」
友美は空を指差した。
西の空には真っ黒な雲。風もあって流れが速い。
「本当だ。降り出す前に早く帰らなきゃ。」
「急ごう!」
更衣室ではみんな慌てて着替えて「お先に失礼しまーす。」と急ぎ足で帰って行く。
あれ…。私、鞄開けっ放しだった?
中を覗くと――。
「どうしたの。着替えないの?」
友美が首を傾げて訊いた。
「…うん、ちょっと。プールサイドに忘れ物したから取ってくる。」
「急ぎなよー。私、先帰るからね。」