「……そろそろ通りたいんだけどな…」

「…こっ、ここは通さねえ!!」

「そ、そうだ通さない!!」


いきなり両手を広げ通せん坊をしだした二人に少し微笑んでから見下ろす。


「……退け」


短く言い放てば二人もゆっくり両手を下げる。


「ご、ごめんね蓮南…!!」

「俺もごめんなさい!!」


余程、恐かったのか少し涙目になりながら謝る二人に溜息を吐き次は優しく微笑む。


「……次はないからね」


それだけ言い前を向き直り部屋の前まで来ると何やらいつにも増して騒がしい部屋。


「……なんの騒ぎ…?」


ガチャっと扉を開け中に見た光景に思わずピタリと動きが止まり、後ろでは千鶴と恵都が気まずそうな顔をしている。


皆も動きを止めるなか一人だけ騒ぐのは、この前会った女――溝江 裕香。


これで私を部屋に通さなかったのか…


納得したと同時に僅に苛立ちを感じる。


「……説明、してもらおうか」


微笑み中へと入りソファーに腰かけ煙草に火をつける。