「…あれ?波留の友達?」
「あ、あぁ」
そう言えば私と蒼の方を向き笑顔のまま口を開く女。
「こんにちは、溝江 裕香(ミゾエ ユウカ)です」
「……こんにちは」
波留の友達、かな?
なんか嫌い…不愉快。貼り付けたような笑顔で媚を売るような感じ……早く離れたいな。
「……波留、どうする?」
「…え?あ、俺もいく」
その言葉に軽く頷きその場を立ち去ろうとした時。
パシ―…っ
その音に視線だけ動かし見れば裕香がしっかりと波留の腕を掴んでいる。
「…あっ、ごめん…あの…」
その様子に時間がかかると思い小さく溜息を吐く。
「…蒼、行くよ」
「……ああ、わかった」
「…波留、先に戻る」
短く言い放ち蒼と先に病院を後にした。