真っ白な病室に入れば変わらず眠り続ける伊折の姿。


「……伊折、蒼がお兄さんだったんだね」

そう言えばいつも言っていた。
「俺の兄貴はすげぇ格好いいんだ」無垢な笑顔で話してくれた伊折を思いだしクスっと笑みを溢す。



蒼の話を聞いてから早3日。
あるから凛雪と同盟を組んだり、始末屋の仕事をしてやっと落ち着いて来れた伊折のもと。


まあ一週間に2、3回は来てるけど。


近くに置いてある花瓶を取り持っていた花束を持ち病室を一旦出る。


「蓮南」

「……波留、来たんだ」


波留と伊折は面識はないけど、たまにこうやって病室に来てくれたりする。


「…ああ、病室にいなかったから」


持っていた花瓶に波留の視線が移り「行こっか」と軽く言い病室に戻る。


「――…で、塁と大雅が呆れてた」

「…ふっ…あの二人似てるからねー…」


病室に着くまでの間に仲良くなった凛雪との話を聞いて思わず笑みが溢れる。


「……蒼?」

「あっ、来てたのか」


病室に戻れば蒼も来ていて静かに伊折を見つめていた。


「…幸せだな、伊折は」

「……え?」


唐突な蒼の言葉に意味が分からず目を瞬かせ聞けば、ふっ…と小さく笑みを溢す蒼。