「……蓮…蓮南!!」
「んー…、なに?」
気持ち良さそうにうたた寝をしていた蓮南――桐島 蓮南(キリシマ レンナ)は眠そうに目をこすりながらのんびりとした口調で答えればアメジストのような紫色の瞳を何度か瞬かせる。
「だから今日は暴走の日だろ!!」
「あー…」
明後日の方向を見ながら曖昧に答えれば呆れたように溜息をつくのは明るい茶髪の髪をした端正な顔立ちの青年、橘 鈴夜(タチバナ リンヤ)。
「まったくうちの総長は…」
「まあいーじゃんっ」
総長と言うのは他でもない蓮南の事であり全国No.1の座に立ち続ける最強と謳われる暴走族、海炎(カイエン)の三代目総長だ。
「ほら、行こっ」
「…おうっ!!」
ほんの少し前までは呆れたような顔だった鈴夜も蓮南が軽く微笑み言葉を紡げばすぐに笑顔を溢し蓮南の後へと続く。