「疲れたー…」


まるで男達の存在などなかったように軽い口振りで呟けば人が賑わう繁華街へと視線をずらす。


光に照された少女の顔や腕には男達のものなのか所々に真っ赤な血が彩られている。

その表情は笑顔もなく悲しみもなく無機質と言った物に近くその瞳は冷めきっていた。


「……会いたいよ…伊折…」


誰に言うでもなくぼそりと呟いた言葉とともにもう一度、夜空を仰ぎ見る少女の瞳は先程とは絶望と希望を秘めた瞳。



だが、再度繁華街に向けられた瞳にはすでに何を考えているのかわからない酷く冷めた恐ろしい瞳へと戻っていた。


一歩ずつ足を進めればすぐに少女は繁華街の人混みへと既に紛れていた。


少女がいた場所には先程の気絶したままの男達と少し乾いた血の後。

その傍には死神が描かれたトランプのカードがまるで男達を嘲笑うかのように置かれていた―――……