「…蓮南、早く目を覚ましてくれ」
悲痛に呟く波留の声がただ静かに病室に響きわたる。
……波留の声?
今度は、もうしっかり聞こえる。
会 い た い
ただそれだけが感情を支配し、夢の中から抜け出すように目をパチリと開ける。
そこには、まだ気付いていないのか俯き肩を震わせている波留の姿が目に飛び込む。
「…波留、おはよう」
驚かすつもりはなかったけど、ずっと黙っているわけにもいかず話しかければパッと顔を上げ目を丸くし驚く波留。
「…夢じゃない、よな?」
「ふふっ…違うよ」
そう言えば身をのりだしギュッと強く抱き締める波留。
「…俺ッ…もし目が覚めなかったらって…」
声を震わせる話す波留をただ何も言わずに背中に腕を回し抱き締める。
「……もう、いなくならないから」
「………ああ」
そう言えば体を離し、強い瞳で私を捉える。
「……蓮南、好きだ」
「………ッッ……」
唐突に発せられた言葉に動揺を隠せずに目を瞬かせる。
波留が私を、好き?
やっと言葉を理解すれば頬が熱をおびるのが自分でもわかる。