ピッピッと規則正しく響く機械音。
ベッドには眠ったままの蓮南の姿。


「…蓮南、これじゃあ逆だな」


悲痛に笑みを漏らし、蓮南の手を強く握る伊折。


蓮南が眠りについて既に一週間がたつが未だ波留は現れない。


「……信じてるけどな…」


ぽつりと呟き呆れたように笑みを零す伊折。


不意にガラッ、と音をたて扉が開けばそこには波留の姿。


「…噂をすれば、ってとこか?」


ぼそり、と小さく呟いた伊折の言葉に訝し気な顔をしながら近付く波留。


「蓮南は、まだ起きないか…」

「…ああ、こう見てればただ寝ているようにしか見えねえけどな…」


蓮南を見つめながら短く会話をすれば暫し沈黙が走る。


「…自分の中ではもう整理したつもりだ、伊折に言われた通り俺は頭を冷やすべきだったんだ」


ぽつり、ぽつりと話し出した波留の言葉に伊折は何も言わずただじっと耳を傾けていた。


「…色々とありがと、な」

「……ッッ…俺は何もしてねえよ」

視線を外したまま波留が言えば伊折も視線をずらして答える。


ただ、表情は先程とは違って無意識なのか二人とも口元が緩んでいた。