静かな病院内に光っていたランプが、不意に消え扉が開く。


「…終わりました」


中から出てきた執刀医が出てきて口を零せば皆、安堵の溜息を吐くが未だ不安の色は消え去らない。

「…先生?」

「伊折君じゃないか!!…元気そうで何よりだ」


疲れた瞳の奥に安堵の色を滲ませ話す医者は、次の伊折の言葉に眉を下げる。


「……蓮南は、助かったのか?」

「…一命は取り留めた……だが、傷が深くいつ目覚めるかわからないし後遺症が残る可能性もある…」


思いもよらない医者の言葉に先程までの安堵は消え皆、黙り込む。

「…なん、で…蓮南なんだよ…ッッ」


悲痛に漏らした波留の言葉に医者も更に眉を下げ表情を歪ませる。


「……お前はやっぱり分かってねえ。…蓮南の気持ちを分からない限り顔を見せるな」


ギリッ、と奥歯を噛み表情を歪ませる伊折の言葉に、誰ひとり何も言わず運ばれてきた蓮南の元へと駆け寄る。


「こればっかりは仕方ない…少し頭を冷やせ」


ちょうど来た劉は軽く波留の頭を撫でそれだけ言い蓮南へと駆け寄る。


「……どうすればいいんだよ…ッ」


誰にも聞こえないような小さな声で呟けば眠るままの蓮南を、泣き出しそうな瞳で見つめ静かに病院を後にした。