ガチャ、っと音をたて扉を開けば満天の星が夜空を飾る。


「…劉、いたのか」

「洋一と翔か…あそこにいたら弱音吐けねえからな…」


屋上のベンチに腰掛け煙草を片手に弱々しく呟く劉に二人は、何を言うでもなく隣に腰掛ける。


「…浬津は?」

「え?あぁ…あそこだ」


「俺、浬津んとこ行く」

劉の指さす方向にはフェンスの向こう側に座る浬津の方に向かう翔。


「……相変わらず危なっかしい所に座るよ、あいつは」


ふっ…と笑みを零しながら話す劉に軽く相槌を打つ洋一。


「…願うことしか、出来ないんだな…」

「……今は皆同じ気持ちだ、お前だけじゃねえよ」


弱々しく話す劉に、まるで自分に言い聞かすかのように答える洋一。


「もし…」

―…蓮南が戻ってこなかったら


そこまで言いかけハァ…と溜息を吐き言葉を飲む劉に洋一も何かを察したのか、何も言わず煙草に火をつける。


ふう、と吐き出した煙草の煙はまるで嘲笑うかのような星空に昇り消え去る。