「……こいつが…ッッ」
皆がバイクに跨がり病院に向かおうとするなか、波留の虚な瞳は気を失ったままの信条を捉える。
「…おい!!波留、何してんだよ!!」
信条の上に跨がり顔を何回も何回も、狂ったように殴る波留に気づき鈴夜が止めに入る。
「煩い!!黙れ黙れ黙れ!!こいつが蓮南を……ッ」
鈴夜を突き飛ばし悲痛な声で叫びながらも信条を殴り続ける。
「……いい加減にしろ」
黙って見ていた伊折が低い声で呟き静かに波留に近づく。
「………ッッ…」
伊折に殴られた波留は小さく呻き声を漏らせば地面にしゃがみ込む。
「蓮南が今のお前を見て…一体どう思う?それを考えろ」
それだけ言い捨てれば足早にバイクに跨がる伊折。
「……波留、行こう?」
「…ッッ…俺は馬鹿だな…」
「分かったなら…進めてるって事だと僕は思うよ?」
手を差し延べ穏やかな口調で話す塁の手を握り波留も立ち上がりバイクに跨がる。
「……皆、ごめんな。…伊折もありがとう」
申し訳なさそうに言う波留に皆も微笑み頷く。
「…行くぞ」
蒼が声をかければブォン、というバイク音とともに病院へと向かう。