バンッッ―…
不意に響き渡る歪な音。
「……クソ…ッ」
眩む視界に映るのは狂気の笑みを向け、銃を向けた信条の姿。
傷む腹部に手をあて力無く地面へと倒れる。
「蓮南ッッ!!しっかりしろ!!意識を失うんじゃねえ!!」
焦ったような波留や皆の顔を薄れつつある意識の中に刻み込む。
信条の笑い声に怒り狂う伊折の声に続けばすぐに笑い声は途絶える。
「しっかりしろ蓮南!!」
「絶対、目つぶるなよ!!」
伊折と大雅の言葉の後にも聞こえる、千鶴 鈴夜 蒼 恵都 塁 ボス 浬津 洋君 翔君の声。
でも―…もう聞こえない。
ふわふわとした頭に最後に視界に映る皆の心配している顔―…そして泣きそうな波留の顔。
ごめんね、そんな顔させたい訳じゃないけど。
『なんて顔してんの?』
そう言って微笑みたいけど。
もう、眠いんだ――…
そこまで思い意識は完全に失われた。
「蓮南!?蓮南、起きろよ!!」
既に意識を失った蓮南の体を震える手で抱き上げ嗚咽交じりに叫ぶ波留。
「…波留ッ!!今は直ぐに病院に連れていくんだ!!」
「救急車…それじゃ遅い!!浬津!!お前が車で運べ!!」
洋一と劉の言葉に浬津が車まで走り出し直ぐに車がつく。
「蓮南…蓮南ッ!!」
抱きしめたままの波留に翔が近寄り次の瞬間、波留の顔を殴る。
「お前、蓮南を助けたくねえのか!!直ぐに車に運べ!!」
呆然としたままの波留から蓮南を抱き抱えれば車に乗せ浬津と劉を乗せ車は遠退く。