「…誰、狙ってんの?」
背後に回り頭に銃を当てながら聞けばビクッと肩を震わせる男。
「……ッッ…その髪の色…ッッ」
「…紫白、知ってる?」
そう言えば銃を一旦離し背中を押せばドサッ、と倒れ込む男。
「…し、始末屋が何で…ッ」
「……依頼人が溝江 裕香…お前のターゲットは誰だ?」
声を低くし額に銃を当てながら聞けばヒッ、と小さく悲鳴を上げる男。
「…み、溝江 裕香…」
「依頼人は」
「……それは…ッッ」
言い詰まる男にガシャッと音を立てれば冷や汗を流す。
「溝江財閥の対立社だよッッ!!」
それだけ言えば男から離れ見下ろしその場を去ろうとした時。
「…お前を殺せば俺が一番だ!!」
「……ッッ……」
背中を向けた瞬間に発せられた言葉に振り返ればライフルに手をかけようとしている男。
男が引き金に手をかけるより早く引き金を引けば男は痛みで呻きながら倒れれば手からは血が溢れ出る。
もう片方の手に向け引き金を引けば血が流れ出る中、警察に連絡をいれる。
パタンッッと携帯を閉じ横で呻く男を一瞥し煙草をくわえる。
『俺が一番』
先程、男が言った言葉に克との事が頭を過ぎる。
……全て、終わらせる。
今までの悪夢から、克も私も抜け出すために……
暫くし裕香の元に向かい今あったことを話せば安堵の溜息を漏らす。
「…では、これで任務は終わりましたので失礼致します」
パーティーも終わりになる頃にそう告げれば殿内と二人で駆け寄って来る裕香。
「本当に今日はありがとう…本当に感謝してるわ」
「…私からも本当にありがとうございました」
微笑みを口に浮かべて話す二人に軽くお辞儀をして今度こそ、その場を後にし任務は無事終わった。