「……………。」



二人共無言になり、私の心臓はばっくばっくと爆発しそうなくらい跳ねている。



…ばっくばっくばっく。



静まれ心臓!


これじゃあ新政くんに聞こえちゃうでしょ!!






唯井新政は私の俯いて赤くなっている横顔を眺める。





「…………市。」



急に唯井新政に呼ばれ、私は顔をあげる。



「なに………?」










「俺……あの時の…市の返事まだ聞いてないよな。」



ドクン。




『付き合えよ。』






「市は俺のこと嫌い?」


「そ、そんなこと……ッ……」







……新政くんは“友達”……?


本当にただの友達?





市は……





「い…市は……」





その時だった。



「え…ちょっと何?言い争い?」


近くで女子校生が口にする。


…言い争い?


「なんか可愛い女の子とオヤジが言い争ってるらしいよぉ。」





「さ…里子ちゃん!?」




人ごみの中から微かに見える。


里子ちゃんとオヤジが確かに言い争っていた。



「あんたがいつも那己くんの痴漢する奴やろ!!」


「ぁあ?んだとコラ!!そんなこと全く身に覚えがねぇって言ってんだろ!!」