もう家の前だというとき、唯井新政は急に立ち止まる。


「…俺、やっぱいい。」


「なんで?傷の手当とかしないと…」



ぎゅうぎゅう引っ張るが唯井新政は顔を伏せたまま。




…もうッ



「イライラするなぁ!!怪我してる人前にしてほっとく訳いかないでしょッ!大人しくついてきなよ!!」




唯井新政はぽかーん…と口を開けて驚いている。


「ハイ…」


「わかったならとっとと歩く!!」


……大人しくなった唯井新政はちゃんと家に入ってきた。


「市帰ってきたの?…あら。」


出迎えたお母さんが私達二人を見てニヤける。


「あんたやるわねぇ?」


「い…意味わかんないから!!」



顔を赤くし、自分の部屋へ唯井新政を押し込む。