彼は頭をかきながら、照れくさそうに言った。
「私、高橋くんともっと仲良くなりたいな」
やっと心から思っていたことが言えた。
もっと仲良くなって、高校生活を楽しまなくっちゃ。
綾乃も桐山も一緒に。…そして私と高橋くんも。
「うっ…上野さんは…あの…」
「夢架でいいよ」
私はにっこり笑って言った。
すると高橋くんは両手を前に出してそれを拒否するように手を動かした。
「いきなりそんな…だめですよ!」
「はい、私たちはもう友達です。なので敬語は絶対禁止!」
「…はい?」
友達同士で敬語は使わない。
これは私の中でのお約束だ。
いや、だいたいの人たちはそうだろう。
桐山なんて初めっからタメ口だったからね。
「だから、気軽に話してね」
少しでも気が楽になってくれれば、私たちの中にもとけ込みやすくなると思う。
そうすれば、今は少しおどおどしている高橋くんとも、落ち着いて接することが出来るかな。
「ありがとう。俺、嬉しいよ」
そう言って彼は、笑みを浮かべた。
いい人そうでよかった。
「そういえば高橋くん、どこの中学校から来たの?」
「進夢。」
「へ?」