初めてあったときから私とバカ話ばっかりしてるのに、
男子と話すときだけ急に声が小さくなる。


でもそれは、猫をかぶってるというより男子が苦手なんだって。


私はそんな綾乃を見てるのがすごく楽しい。


そして、いじるのも楽しい。


だって反応がすごく可愛いんだもん。


そして、綾乃と同じ中学だったというお笑い系男子が1人同じ班にいる。



名前は桐山勝輝(しょうき)。


誰がみても絶対に人見知りをしなさそうな性格だ。


綾乃とは中学最後の年に同じクラスになり、苗字が同じというので桐山勝輝から話しかけて来たとか。


席は前後で、よく背中をつつかれて怒ってたと綾乃は嫌そうに言う。


苗字が同じというのはクラスが離れない限り、運命的に前後の席になる。



だから今もあの二人は前後の席だ。



桐山勝輝は誰にでも気安く話しかける。



大人しい人や真面目な人など特徴的な人にも、何も考えずに話しかける。


だからもちろん綾乃は初めはおとなしかっただろう。



初めの内はね。でも今ではさすがの綾乃も桐山には慣れている。



私も結構人見知りをする方だからおとなしそうに見えたのかは知らないが、話しかけられた。


「上野さんだっけ～？あ、俺!?俺は桐山勝輝。勝つに輝くって書いて"勝輝"!!かっこいいだろ～!!な？」



これが出会って初めての会話だった。



なんだコイツ、ってはじめは思ったが、実際根はいいやつだ。


まだ入学して少ししか経っていないというのに、
見ているとこのクラスの男子のほぼ全員と仲良くなっている。


そういう意味では私も桐山を見習いたい。


最後には、同じクラスになった人全員と話せるようになりたいと思っている。


でもコイツといれば、それが叶わなくはなさそうだ。



綾乃と仲良くなれたのは、実際コイツのおかげでもある。



ひとりでもこういう不思議なやつがいれば、なんとか楽しくやっていけそうな気がする。