「あたし死にたく

 ない。でも、ここ

 から出たい」

 「あたしもよ……

 でも」

 言いかけた時、な

 なみが左手を振り

 あげた。尖った先

 端があたしの喉を

 狙ってくる。あた

 しは反射的に彼女

 の胸をついた。視

 界が真っ赤に染ま

 る。だらりとなな

 みが崩れ落ちた。

 その顔からは、も

 はや表情が抜け落

 ちていた。