「じゃあ、やって みてちょうだい」 顎で岩壁をしゃく った女に、虫眼鏡 女はむっとした顔 をした。 「いいですよ」 ふん、と鼻を鳴ら してナイフで指を 傷つけた。ポトリ と血を垂らす。壁 に変化はない。が 、しだいに彼女の 傷口は範囲を広げ ていった。何もし ていないのに、滝 のように出血し始 めた。 「そんなッ……」