鈍く輝く未使用の

 刃物を振りかざす

 。ぎらぎらした瞳

 の先で鮮血がほと

 ばしる。能天気っ

 ぽかった女は額に

 裂け目を作って、

 笑顔のまま崩れ落

 ちた。声にならな

 い悲鳴があがる。

 ぎぎぃ、と岩壁が

 開く。

 「行くわよ」

 返り血を浴びたな

 なみは、浮き浮き

 と歩き始める。隣

 のななみと繋いだ

 手は汗ばんでいる

 。怖い、怖い。あ

 の女が怖い。