「ここに居ても仕

 方がないわ」

 隣のななみが、ま

 つ毛を伏せる。

 「じゃあ、行くの

 ね」

 「ええ」

 「大丈夫。いざと

 なったらこれがあ

 るわ」

 あたしたちはナイ

 フを持つ手に力を

 こめて最後尾につ

 いた。

  恐竜の腸のよう

 な洞窟。ぼうっと

 岩が発光している

 。外からの光はな

 い。日射しは1mm

 も落ちてこない。

 緑がかった薄暗が

 りを、心細い自分

 達の足音を聞きな

 がら進む。