平らになった壁に 長方形の穴があく 。迷路じみた通路 がのぞいている。 「ほらね、出口に なったでしょ」 「でしょって…… あの子は?」 「見てたんだから わかるでしょ。死 んだのよ」 「なんですって」 あたしと、手を握 りあったななみは 青ざめた視線を交 わし、得意気に胸 をそらした彼女を 睨(にら)む。 「そんな顔しなく てもいいじゃない 。これは仕方のな いことなんだもの」