「出口を見つけた

 って言ったじゃな

 い」

 背後でキツい声が

 あがった。くるり

 と同時に振り返る

 。人ひとり入れる

 くらいのくぼみが

 あいた壁。くぼみ

 の側には、勝ち気

 な顔をした、あた

 したちそっくりの

 女がいた。あたし

 たちは彼女に近づ

 いて行く。

 「出口って、これ

 のどこが出口なの

 よ」

 「陥没してるだけ

 じゃない」

 「間違いなくここ

 よ」

 彼女は自信満々で

 言うと、枕を抱え

 て震えている女を

 引きずってきた。