「…おい!

聞いてんのか!」


ぁ、またやってしまった…

このごろ多いなぁ…

気をつけないと…


「おい!」

「ぁ、すいません」

「ちゃんと聞いてろよ」
「すいません…

なんですか…?」

「ぁ~、敬語やめてくんね」

「え、でも…」

「でもじゃない!

タメなんだし、俺堅苦しいの嫌いなんだよ…」

「わかりました

これから気をつけます…」

「だから敬語!」

「すいま…ごめん!」

「まぁ、これから気をつけること」

「うん!!」


敬語は、徐々に直していけばいいか!








なんか…

私、今思ったんだけど…
なんで、零くんには、ちゃんと話せてるの?

人見知りじゃないような感じなんだけど…

なんでたろ?

やっぱり、お母さんがいっていたように、昔、遊んだことがあるからなのかな?

でも、ちゃんとはなせるみたいだからいいや!







今日は、この家からの初めての登校

学校までの距離は、いままでとあまり変わらないから、不便なところはない。

私、ちゃんと零くんの分のお弁当を作った!

いままで、お母さんに作ってもらっていたから、朝早く起きるのは大変だったけど、お母さんのありがたみを感じた。

こんなこと思ったことなんて無かったけど、離れたら、やっぱりわかるんだね。

朝は、とにかく忙しかった。

洗濯物を干したり、朝ご飯作ったり…

零くんは、なかなか起きてこなかったし…

ほっといたけど、朝ご飯は、ちゃんとテーブルの上においてきた。






なんか、今までの生活がうらやましくなった。

だって、朝起きたら、ご飯が用意されてるし…

洗濯物だって、洗っておいてあるし…

これからの生活が怖くなってきた…

何でも、自分でやらないといけないし…

部活にも入りたいのに、これじゃ、大変になりそう…

そう考えているうちに、学校に着いてしまった。







「唯、おはよう!」

「佳奈美おはよう」


佳奈美は、来るのが早いなぁ…

私が遅いだけかも…

まぁ、気にしない!

零くんは、まだ来てないみたいだね。

まだ寝てるかもしれないけど、私、零くんの連絡先知らないから、聞けないんだよね~


「皆さん、おはようございます」


だ、誰!?

こんなおばあさんみたいな人いたっけ?


「佳奈美、あのひと誰?」

「担任です…」


まさかの、担任ですか!
あんなおばあさんが…









あんなおばあさんが担任なんていやだなぁ…

っていうか、何で佳奈美は、あのひとが担任だって知ってるんだろう…?

「ハァ、ハァ、遅れました。」

「次からは気をつけなさいよ!!」

「…はい」


零くんの登場ですか。

寝癖付いてますよ!

なんか、かわいいかも


「唯、なに笑ってるの?」

「零くんの寝癖が面白かったから」

「零くん?」

「あ…」

「後で詳しく聞かせてもらうから」

「はい…」


早速、バレた!?

でも、佳奈美ならいいっか。








HRが終わったとき、私のところに佳奈美が来た…
と思ったら、佳奈美では、なく零くんだった。

というか、クラスの女子からの視線が痛いんですけど…

まぁ、零くんがかっこいいから、なんでわたしなんかのところに来てるんだろ、ということですかね?

零くんはなにも言わず、わたしのところにかみ切れをおいて、どこかに行ってしまった。








「椎名くんは、何だって?」

「これをおいっていっただけだよ」


私は、佳奈美にもらったかみ切れを見せた。


「これ、椎名くんのメアドじゃん!

あんた、どういうこと!?」

「だからね、それは…」

私は、昨日のことをすべて佳奈美にはなした。


「唯、やるじゃん!

早くメールおくりなよ」

そんなこと言われたって、なんて送ればいいんだろう…

寝癖とか?

それじゃぁ、かわいそうか…


「ちょっとかしてみ!」






佳奈美~

なにすんのさ!


「ちょっと、返して!」
「よし、送信っと」

「ちょっとなにしたのさ!」

「何って、椎名くんにメール送っただけだよ?

お、帰ってきた。

んーっと、昼休みに、屋上にこいだって!」


佳奈美~!!

何かってにおくってるのさ!

しかも、呼び出されちゃったし…

「なんて、送ったのさ」
「んー?

寝癖可愛かったよ!

っておくっただけだけど?」


有り得ない…

たしかにさ、そう思ったけど…

もう、呆れました…



大切な君へ

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