少し頭をもたげて、窓を見遣ると、京都の街に夜明けが訪れようとしていた。 「煙草、吸わないのか」 あたしの腰あたりに手を回して、愛しい男は微笑みを浮かべる。 「まだ、いいわ」 あたしの返事を聞いた後、友之があたしを布団に沈める。 何の音もしない、静寂の夜明けの中。 聞こえるのは、友之に抱かれて喘ぐ、あたしの声だけ。