― ごめんな、志麻

お前だけを守れない事が、こんなに辛いと分かっていたら。

出会った時、遊びで終らせたのに

俺の腰に、志麻のしなやかな腕が回る。

「大事、だよ。」

消え入りそうに小さな声で、呟くのが聞こえた。

何一つ、愛の言葉を発せられない俺達の、たった一つ許された愛の言葉だ。

それに答えるために、抱き締める腕に力を込める。

薄明かるい朝方の空が、妙に切なく感じるのは、俺だけだろうか。