『誰だ、あんた達…』あれ、見覚えがあるやつらだ。

そう、ママは思い出したと言う… 駐車場にいたやつら数人は、稟子の仲間だったんだ。ママが声をかけた…

『お前ら、なんの用?』

『うるせー お前には用がない、お前の後ろにいる女に用があるんだ。』


すると、男女数人が麗香に襲いかかってきた…


狙いは麗香の鞄だ…


麗香は社長令嬢で、親からいつも大金を持たされていた… 両親はほとんど家にはいなく、娘が一人でも生活に不十しないようにと、親心でやっていたその過保護さが、とんでもない不幸を招いてしまったのだ…


『このやろ〜』

龍也が殴りかかったその時、稟子が仲間を逃がす為に、近くに止まっていた車に勝手に乗り込み、ママ達に向かって暴走し始めた… 《稟子はただ、ママ達をまくだけのつもりが…》


『危ない…』


ママの声と共に、親友と彼氏は、車の下敷きとなり、帰らぬ人となったんだ…


誰よりも短気なママなのに、怒りを忘れて、その場に崩れ落ちるように座りこみ、二人を抱きしめながら、泣いたと言う…


稟子は初めから、友達のふりをしていただけだった… そう、偽りの友達。

麗香の金をねこそぎ巻き上げるためだけに近づいてきた、ただの悪女だった。