ゼロはリュリュカがソファーに座ったのを確認すると、いつまでも動かない友人に話しかける
「なにをしている。早く仕事しろ」
「陛下という睨みつけがいるから王妃様の匂いも多少は大丈夫だろうけど、それでも心配なんだよ」
そう言うと、ゾノはボトルを大事そうに抱えながら自分の席についた
「魔王という睨みつけがいると匂い平気なんですか……?」
ベールをかぶる前に部屋に入ってきたゾノに驚いていると、ゾノは腕を組んでこう言ってきた
「そうだ。蛇に睨まれた蛙?みたいな状態になる。だから理性を保つことができるんだ」
「あれ?ならこのベールは必要ないんじゃ……」
ベールの端をつまんでひらひらと動かせば、ゼロはペンを力強く机に叩きつけた
「……それは必要だ。絶対に手離すな」