「何があったんですか?」


美姫の母に尋ねると、美姫を病院に連れて来てくれた主婦に聞いたことをそのまま教えてくれた。


主婦が歩道橋に通りかかった時、美姫は大きなお腹を抱えながらも必死で足を振り上げて自力で歩道橋の上に這い上がったという。


急いで駆けつけると美姫は全身で息をしていて汗だく、両手は血だらけだったそうだ。


「道路に美姫のバッグが落ちてたから、それを拾おうとして歩道橋から落ちたみたいなの」


美姫の母は眠っている美姫の頬を撫でた。


「こんなになっても赤ちゃんを守りたかったのね。無事で良かった・・・」


美姫の母は顔を覆って泣いていた。


私はそっとその肩を抱いて一緒に泣いた。


美姫は、一体どんな気持ちでー。