それからは無我夢中でどうやって歩道橋の上まで這い上がったか覚えていない。


体が重力もかかって鉛のように重くて、10分以上はかかった気がする。


ただただ必死で足を振り上げた。


歩道橋の上に上がった時には汗だくで、両手は血だらけになっていた。


「大丈夫!?」


その時買い物帰りの主婦らしき人が通りかかり、大慌てで病院に連れて行ってくれた。




美姫の母から連絡を受けた私は、すぐに病院に向かった。


病院には美姫の母がいて、両手をぐるぐる包帯で巻かれた美姫がベッドで眠っていた。


天使のような寝顔だったけれど、その表情には疲労が色濃く見えた。