「いいから、いいから」


それでも土屋は懲りずに今度は袋を持っている美姫の右手に手を伸ばした。


その汗ばんだ指が美姫の右手に触れた瞬間ー、


「触らないで!」


美姫は土屋の顎にアッパーを食らわせた。


「ギャアッ」


土屋は一瞬で伸びてしまった。


「えっ!?」


一番驚いたのは殴った美姫張本人である。


「何事ですか!?」


騒ぎを聞きつけた駅員がやって来た。


美姫は駅員に一部始終を説明し、土屋を救護室に運んでくれるように頼んだ。