1月早々に英王の内定が下りた。


第一希望の藤井物産だった。


藤井物産とは国内で三本の指に入る貿易会社で、外車やワイン等を取り扱っている。


その噂はここ経済学部にも伝わってきていた。


美姫は英王と内定のお祝いをした。


「おめでとう、王ちゃん!」


「ありがとう、姫」


英王は内定が下りるのを信じていたようだった。


だからこれまで留学準備を進めてきた。


美姫は英王を誇りに思う反面寂しかった。


英王は4月にはアメリカの大学に留学してしまうから。


時間が止まればいいのに、と思った。