その後も二人はイングリッシュガーデンで何回か会っているようだった。


夜勤明けに美姫が、


「はい、コーヒーとお茶どっちがいい?」


と言って英王に缶を差し出す。


「眠れなくなるからお茶かな。ありがとう」


「どういたしまして」


それでもいまだにメアドを聞き出すことは出来なかった。


まだそこまでは親しくなっていないのだ。


英王の隣に座った美姫は英王の携帯を見せてもらうフリをして、赤外線で自分の携帯に送ろうかとも考えた。


「バラ綺麗だね」


見上げるとイングッシュガーデンのアーチ状の門にバラが巻き付き、美しい赤い花を咲かせていた。


「ほんとだ」


美姫は顔をほころばせた。


季節は5月を迎えていた。