月明かりで男の顔を見た美姫だったが、暗くてよくは見えなかった。


こうして照明の下で改めて見ると、カッコいいと思った。


奥二重の瞳、高い鼻、薄い唇。


肩幅が広く、身長は175cmはありそうだった。


笑顔が優しい印象を与えた。


「ところで名前は何て言うの?」


男は美姫に尋ねた。


「麻生美姫です。あなたは?」


「オレの名前は有賀英王(ありがひでお)だよ。ヨロシク、美姫ちゃん」


英王は右手を差し出した。


それを美姫も握り返した。


「あと、オレ火、木、土だったら夜勤明けであそこで寝てると思うから。あ、土曜は大学休みか」


そう言って英王は笑った。