美姫に傘を差し出したのはあの男だった。


「あ、ありがとう・・・」


「これ」


男は美姫にタオルを差し出した。


「オレ使ったから臭いかもしれないけど、良ければ使ったら?」


「うん・・・」


美姫はタオルで頭や体を拭いた。


「ところでこんな雨の中何してたの?」


「それは・・・」


「もしかしてオレがお礼するって言ってたから待ってたの?」


男はニコッと笑った。


そして美姫が頷くと、「そうか」と言って二人は相合傘で歩き出した。