「おはよう、美姫」


マンションの隣のチャイムを鳴らすと、美姫と呼ばれた女の子が出てきた。


肩まである黒髪にゆるふわパーマをかけている。


真っ白い肌にピンクのチークがよく似合っていた。


彼女は麻生美姫(あそうみき)


「おはよう、めぐ」


私は名城恵(なしろめぐむ)


「行こうか」


「うん」


私達は都内にあるS大学の経済学部に通う二年生だ。


私達が出会ったのは去年、大学に入学した時だった。