「王子様はいるもん!」


美姫は大きな声でハッキリと言い放った。


いつも優しく笑っている美姫のこんな真剣な顔を見たのはこれが初めてだった。


あまりの迫力にみんな一瞬ひるんだものの、


「じゃあ誰なんだよそいつ~」


「ここに連れて来いよ、今すぐ」


と次々に言い返した。


「それは・・・」


美姫の声が急に小さくなった。


「まだ現れてないけど・・・」


と弱々しく言った。


そして悲しそうに俯いて食堂から出て行ってしまった。