こうして1年の年月が流れた。


私達は大学二年生になった。


美姫は無邪気で世間ずれしていない性格、そして今まで男の人と付き合ったことが無いことから、名前から取って“姫”と呼ばれるようになった。


彼女は別段気にすることも偉ぶることも無く、相変わらず優しくて献身的で可愛らしい笑顔をふりまいていた。


私はそんな彼女をずっと守りたいと思っていたのに、ある時うっかり口を滑らせてしまった。


二年生になりたての4月のことだった。


いつものように食堂でみんなで恋バナをして盛り上がっていた。


「そーいえばさ、何で姫ってあんなに可愛いのに今まで彼氏いなかったんだろうね」


誰かが突然言い出した。


私はつい、


「美姫にはもうすぐ王子様が現れるんだって~。だから今まで誰とも付き合ったことが無いんだってよ」


と口走ってしまった。