「いいえ、特に思い当たりません」


美姫は首を振った。


「そうですか・・・」


彼女は広い範囲で“社会不安障害”と診断された。


ー私は病気なんかじゃない。これには何か理由があるはずなのにー


美姫は処方されたレキソタン、デパス等の薬をぎゅっと握り締めた。


処方される薬は通院の度に増えていき、今や8種類になっていた。


私はこのクリニックの食い物にされているのかもしれないー。


セカンドオピニオンが必要かと思った。


それ以前にどうして毎日同じ夢を見るのか、


あの男の人は一体誰なのか探るのが先決だった。


でも、一体どうすればいいのかが分からない。


美姫のこうした思いを私が知るのは、この先ずっと後になるー。