こんなことなら知らなければよかった。宇美は残酷な現実を与えた神を恨んだ。速水があんな悪戯をするなんて考えられなかった。宇美が誰よりも愛していた速水が“一”だった…。宇美は“一”が女の子だと思い込んでいた。速水は宇美の気持ちを知っていながら付き合っていたわけだ。信じられない。じゃあ何で宇美を助け、お見舞いにも来たのか?全然わからなかった。速水に対する複雑な気持ちが込み上げてきた。怒りと失望。そして絶望。宇美の中で絆の城が音を立てて崩れ去った。